葉月(はづき)多肉植物は見た目がユニークで、初心者にも人気の観葉植物です。しかし、品種によって日当たり・水やり・気温管理など、育てやすさが大きく変わります。最初の一鉢を間違えてしまうと、思ったより難しいと感じてしまうこともあります。
この記事では、初めて多肉植物を育てる方に向けて、丈夫で育てやすいおすすめの10種類と、失敗しないための選び方をわかりやすく紹介します。環境や性格に合わせて選べば、毎日のお世話もぐっと楽になりますよ。
この記事でわかること:
- 初心者でも失敗しにくい多肉植物の特徴
- 育てやすい多肉植物10種類のポイント
- ライフスタイルに合った多肉植物の選び方
- 初心者が避けたほうがいい種類とは?
多肉植物の世界は奥が深く、知れば知るほど愛着が湧いてきます。あなたにぴったりの一鉢を見つけて、グリーンのある暮らしを楽しみましょう。
多肉植物を選ぶときの基本ポイント
多肉植物はどれも個性的でかわいらしいですが、「どれを選んでも同じように育つ」というわけではありません。環境や管理の仕方によって向き・不向きがあるため、まずは選び方の基本を押さえておくことが大切です。ここでは、初心者が特に意識したい3つのポイントを紹介します。
光と風通しに合う種類を選ぶ
多肉植物の多くは明るく風通しの良い場所を好みます。屋内で育てる場合は、日当たりのよい窓辺が理想的です。ただし、真夏の直射日光は葉焼けの原因になるため、レースカーテン越しに柔らかい光を当てるようにしましょう。
また、日陰でも育ちやすい種類(ハオルチア、ガステリアなど)を選ぶと、室内でも元気に育てられます。自宅の環境に合わせて「日光が好きなタイプ」か「半日陰でもOKなタイプ」かを見極めて選ぶと安心です。
水やり頻度でタイプを見分ける
多肉植物は品種によって水を好むタイプと乾燥を好むタイプがあります。水を多く欲しがるタイプは成長が早い一方、蒸れやすく管理が難しい場合もあります。初心者には、乾燥に強く水やりが少なくて済む種類が向いています。
- 水を好むタイプ: セダム、クラッスラなど(成長が早い・見た目が茂りやすい)
- 乾燥に強いタイプ: エケベリア、ハオルチア、サボテンなど(管理が楽・丈夫)
「うっかり水やりを忘れてしまう」方には、乾燥に強い種類を選ぶのがコツです。
成長スピードと大きさもチェック
同じ多肉植物でも、成長スピードや大きさはさまざまです。限られたスペースで育てるなら、ゆっくり成長するタイプを選ぶと管理がしやすくなります。逆に、早く増やして楽しみたい方は、セダムやグラプトペタルムなどの成長が早い品種を選びましょう。
また、テーブルやデスクに飾るなら小型種、床置きや玄関に置くなら中〜大型種がおすすめです。成長後の姿をイメージして選ぶと、レイアウトも崩れにくくなります。



初心者におすすめの多肉植物10選
多肉植物とひと口にいっても、種類は数千を超えます。その中から、初心者でも失敗しにくく、見た目も可愛らしい育てやすい代表10種を厳選しました。それぞれの特徴・育て方のポイント・おすすめの置き場所を解説します。
1. エケベリア(人気No.1の定番種)
多肉植物の王道ともいえるエケベリアは、バラのようなロゼット型の姿が魅力。肉厚な葉が放射状に広がり、品種によってはピンクや青みがかった色合いを楽しめます。
育て方のポイント:日光を好みますが、直射日光は避け、レース越しの柔らかい光が理想。春と秋の成長期には「乾いたらたっぷり」水を与え、夏冬は控えめにします。風通しを確保すると病気にも強くなります。
初心者でも育てやすく、寄せ植えやギフトにも人気の万能種です。
2. セダム(丈夫で増やしやすい)
小さな葉がぎっしりとついたセダムは、種類が豊富で管理が簡単。葉色も明るいグリーンから赤・黄色まで多彩で、寄せ植えにも向いています。
育て方のポイント:直射日光にも強く、屋外管理に最適。乾燥に強い反面、湿気がこもると蒸れやすいので、風通しを意識しましょう。成長が早く、葉挿しや茎挿しでもどんどん増やせます。
ベランダや玄関先など、日当たりの良い場所に置けば一年中楽しめます。
3. ハオルチア(室内でも育てやすい)
「窓のある多肉」とも呼ばれるハオルチアは、葉の先端が透き通って光を取り込む独特の姿が特徴。日陰にも強く、室内管理にぴったりです。
育て方のポイント:直射日光を避け、明るい室内で管理。春と秋は普通に水やりを行い、夏と冬は断水気味にします。多湿を嫌うため、風通しをよく保つことが大切です。
初心者でも失敗が少なく、デスクグリーンとしても人気の高い種類です。
4. グラプトペタルム(葉色が美しい)
丸みのある葉が特徴的で、成長とともに葉色が変化するグラプトペタルム。光の当たり方でピンクや紫がかる姿はとても美しく、観賞性が高い品種です。
育て方のポイント:明るい日差しを好みますが、強すぎる直射日光は避けます。風通しを保ち、乾燥気味に育てるのがコツ。寒さにも比較的強く、屋内外どちらでも育てやすいです。
インテリア性も高く、他の多肉と組み合わせても映える万能タイプです。
5. グラプトベリア(交配種でカラフル)
エケベリアとグラプトペタルムの交配種で、葉色や形が多彩。淡いグリーンからピンク、パープルまでカラーバリエーションが豊富です。
育て方のポイント:基本はエケベリアに準じ、春秋の成長期にしっかり光を当てます。寒さにも比較的強く、育てやすいです。乾燥気味を保つと色づきが良くなります。
寄せ植えやギフトにも向いており、初心者が“おしゃれな多肉”を育てたい時に最適です。
6. サボテン類(乾燥に強く丈夫)
多肉植物の仲間としておなじみのサボテンも、初心者にぴったり。乾燥に非常に強く、少ない手間で長く楽しめます。品種によっては美しい花を咲かせることも。
育て方のポイント:日光を好みますが、夏の直射日光には注意。水やりは「完全に乾いてからたっぷり」が基本で、冬はほとんど与えなくても大丈夫です。
とにかく丈夫で、旅行などで家を空けがちな方にもおすすめです。
7. アロエ(実用性と観賞性を両立)
アロエは観賞用としてだけでなく、火傷や肌ケアにも使える実用的な多肉植物。葉のフォルムが力強く、インテリアとしても人気です。
育て方のポイント:日光を好み、屋外でも育ちますが、冬は室内に取り込むと安心。水やりは控えめで、乾燥気味を意識します。古い葉を切り落とすと株の形がきれいに保てます。
機能性と見た目を兼ね備えた、多肉初心者の定番です。
8. クラッスラ(多様な形と色が楽しい)
「金のなる木」で知られるクラッスラ属は、種類が非常に豊富。葉がコインのような形のものや、幾何学的な模様をもつものなど、ユニークな見た目が魅力です。
育て方のポイント:日当たりのよい場所で育てると、葉がぎゅっと詰まって美しく育ちます。水は控えめでOK。冬の寒さにはやや弱いので、霜が降りる前に室内へ移動させましょう。
インテリア性が高く、和室やモダン空間にもよく似合います。
9. カランコエ(花も楽しめる多肉)
「花の咲く多肉」として人気のカランコエ。厚みのある葉に加えて、赤・オレンジ・ピンクなどの可憐な花を咲かせるのが特徴です。
育て方のポイント:日光を好み、風通しの良い場所に置くと長く花を楽しめます。乾燥に強いですが、花期はやや多めの水やりが必要。花が終わった後は剪定して株を整えると、また新しい芽が出てきます。
多肉と花を両方楽しみたい方におすすめです。
10. リトープス(個性的な“生きる石”)
まるで石のような見た目のリトープスは、「生きた宝石」とも呼ばれる人気種。休眠期を経ながら年に一度、古い皮を脱いで新しい葉を出すユニークな成長サイクルを持っています。
育て方のポイント:乾燥を好み、水の与えすぎに注意。春と秋の成長期にのみ軽く水を与え、夏と冬は断水気味にします。強い日光には弱いため、明るい日陰が最適です。
見た目のユニークさに惹かれるコレクターも多く、育てる楽しみと観察する面白さを両方味わえます。



選び方のコツと組み合わせの楽しみ方
お気に入りの多肉植物を見つけたら、次は“どう組み合わせて楽しむか”を考えてみましょう。単体で飾るのも素敵ですが、複数をバランスよく組み合わせることで、ぐっとおしゃれで奥行きのあるインテリアになります。ここでは、多肉植物をより美しく見せるための選び方と配置のコツを紹介します。
同系色でまとめて統一感を出す
多肉植物の魅力のひとつは、その豊富なカラーバリエーションです。グリーン、ピンク、グレー、紫など、葉の色だけでも多彩。そこでまず意識したいのが、色のトーンをそろえることです。
たとえば「淡いトーンのグリーン+グレー系」でまとめると落ち着いた印象に、「ピンク+ライムグリーン」で明るく華やかに見せることができます。全体の色味を3色以内に抑えると、自然な統一感が出ます。
また、白い鉢やナチュラルな陶器を使うと、植物の色が引き立ち、清潔感のあるディスプレイに仕上がります。
高低差をつけて立体感を演出する
多肉植物は高さやボリュームがそれぞれ異なります。平面的に並べるだけだと単調に見えやすいので、高さのバランスを意識して飾ると、見違えるほどおしゃれになります。
- 背の高い多肉(アロエ、金のなる木など)を後ろに配置
- 中型の多肉(エケベリア、グラプトペタルムなど)を中央に
- 小型で横に広がるタイプ(セダム、クラッスラなど)を前面に
段差のある棚やスタンドを使うのもおすすめです。奥行きが出て、まるで小さな植物コーナーのような空間が作れます。
増やしやすい品種を組み合わせて楽しむ
多肉植物は、挿し木や葉挿しで簡単に増やせる品種が多いのも魅力です。そこでおすすめなのが、「育てやすい×増やしやすい」組み合わせです。時間が経つと自然にボリュームが増し、寄せ植えがより豪華に見えます。
- セダム × エケベリア:形と質感の対比が美しく、増やしやすい
- ハオルチア × グラプトベリア:室内管理OKで管理が楽
- クラッスラ × サボテン:乾燥に強く、手間がほとんどかからない
相性の良い種類を選ぶと、同じ鉢でも長くバランスを保ちながら育てられます。季節ごとに少しずつ株が増えていくのを見るのも、楽しみのひとつです。



Q&A:初心者がよく迷うポイント
多肉植物は基本的に丈夫ですが、「日当たり」「水やり」「冬越し」など、初めて育てるときに戸惑うこともあります。ここでは、初心者の方から特によく寄せられる質問にお答えします。
Q1:日当たりが悪くても育てられますか?
A:明るい日陰であれば、十分に育てられます。特にハオルチア・ガステリア・アロエなどは耐陰性が高く、室内でも元気に育ちます。ただし、日光がまったく入らない場所では、徒長(ひょろ長くなる)して形が崩れることも。週に数回は窓辺に移動させるか、植物用LEDライトを使うと安心です。
Q2:冬は屋外でも大丈夫?
A:寒冷地では屋外管理は避けましょう。多肉植物は寒さに弱く、0℃を下回ると凍害を受ける可能性があります。気温が5℃以下になったら、室内の日当たりのよい場所へ移動させるのが理想です。
暖かい地域でも、霜が降りる時期は軒下やベランダ内に入れてあげてください。冷気が当たらないだけでも、冬越しの成功率がぐっと上がります。
Q3:100円ショップの多肉でも大丈夫?
A:もちろん大丈夫です。100円ショップの多肉植物も、管理方法さえ正しければ立派に育ちます。ただし、購入時に根腐れや害虫がないかをチェックしましょう。葉がブヨブヨしていたり、黒ずんでいる株は避けるのが無難です。
購入後は、できれば1〜2週間ほど隔離して様子を見てから、他の多肉と一緒に飾ると安心です。小さな株からスタートすることで、成長の変化も楽しめます。



まとめ
今回は、初心者でも育てやすい多肉植物10種類と、選び方・飾り方のコツをご紹介しました。多肉植物は見た目のかわいさだけでなく、環境に順応しやすく、長く付き合えるのが魅力です。
- まずは自分の育てる環境(日当たり・温度・風通し)に合う種類を選ぶ
- 乾燥気味の管理を意識し、水のあげすぎを防ぐ
- 色・高さ・形のバランスを意識して組み合わせを楽しむ
小さな一鉢からでも、少しずつ株が増えたり、季節によって色が変わったりと、多肉植物は「変化を楽しむ植物」です。焦らず、自分のペースで育てることが一番のコツです。



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