「塊根植物を育てていると、もっと増やして楽しみたい!」と感じる方は少なくありません。ただ、観葉植物とは少し異なり、塊根植物には独特の増やし方があります。そのため「どうやって増やすの?」「初心者でもできる?」と不安に思う方も多いでしょう。
この記事では、実生(種まき)・株分け・挿し木といった塊根植物の代表的な増やし方をわかりやすく解説します。植物を増やす楽しみを知ることで、育てる喜びがさらに広がりますよ。

塊根植物を増やす前に知っておきたい基礎知識
塊根植物はユニークな形や希少性から人気がありますが、増やし方によっては成功率が低かったり、成長に時間がかかったりすることがあります。まずは、増やす前に知っておきたい基本的なポイントを押さえておきましょう。
成長サイクルを理解する
塊根植物には成長期と休眠期があります。増やす作業を行うのは、根や葉が活発に動く「成長期」が基本です。休眠期に増やそうとすると、発根がうまくいかず失敗する原因となります。
親株の健康状態を確認する
増やすためには、まず元となる株が健康であることが重要です。葉がしっかりしているか、根が腐っていないかを事前に確認しましょう。弱った株を無理に増やそうとすると、親株まで枯れてしまうリスクがあります。
環境づくりが成功のカギ
塊根植物の増やし方は複数ありますが、いずれも温度・湿度・光といった環境条件が大切です。清潔な用土を用意し、カビや雑菌の繁殖を防ぐことで成功率が大きく高まります。



実生(種まき)で増やす方法
塊根植物を種から育てる「実生(みしょう)」は、初心者にも挑戦しやすい増やし方です。時間はかかりますが、発芽したばかりの小さな株が少しずつ成長していく姿は、ほかでは味わえない楽しみがあります。
種の入手方法
実生を始めるには、まず新鮮な種を用意することが大切です。ネット通販や園芸ショップで購入できますが、古い種は発芽率が下がるため注意しましょう。
種まきに適した環境
- 気温:20〜30℃が発芽適温
- 光:直射日光を避けた明るい日陰
- 用土:滅菌済みの清潔な土(市販の実生用培養土がおすすめ)
種まきの手順
- 清潔な鉢やトレーに用土を入れる
- 種をまき、薄く覆土する(深く埋めすぎない)
- 霧吹きでやさしく水を与える
- 乾燥を防ぐために透明のフタやラップで保湿する
発芽後の管理
発芽後は蒸れないように風通しをよくし、徐々に光に慣らしていきます。小さな苗は過湿による根腐れに弱いので、水やりは控えめを意識しましょう。



株分けで増やす方法
株分けは、親株の根元から出てきた子株(わき芽や分球)を切り離して育てる方法です。親株の力を利用するため初心者にも成功しやすく、比較的短期間で成長した株を楽しめます。
株分けに適した時期
株分けのベストタイミングは、植物が活動を始める春から初夏です。根が動き出す季節に行うことで、分けられた株もすぐに発根しやすくなります。
株分けの手順
- 親株を鉢から取り出す
- 土を軽く落とし、根の状態を確認する
- 子株がついている部分を、清潔なハサミやナイフで切り離す
- 切り口は殺菌剤や園芸用の癒合剤を塗って乾かす
- 新しい鉢に植え付け、軽く水を与える
株分けのコツと注意点
- 無理に引きはがさず、自然に分けられる部分を選ぶ
- 親株も弱らせないようにやりすぎは禁物
- 切り口の乾燥を怠ると、腐りやすくなるので注意



挿し木で増やす方法
挿し木は、親株の枝や葉を切り取り、それを土や水に挿して発根させる方法です。塊根植物では少し難易度が高めですが、種類によってはうまく根付かせることができます。
挿し木に適した時期
挿し木は、植物が活発に成長する春から夏が最適です。気温が高く湿度も安定しているため、発根しやすい環境が整います。
挿し木の手順
- 元気な枝や葉を、清潔なハサミで切り取る
- 切り口を1日程度乾かし、カルス(保護層)を形成させる
- 清潔な土(赤玉土や挿し木用土)に挿す
- 明るい日陰で管理し、土が乾いたら霧吹き程度に水を与える
- 数週間~数か月で発根すれば、通常の鉢に植え替える
挿し木のコツと注意点
- 切り口の乾燥が不十分だと腐りやすいので要注意
- 水の与えすぎはNG、乾燥気味で管理するのがポイント
- 成功率は低めなので、複数本を同時に試すと安心



増やした株の管理方法
実生・株分け・挿し木などで増やした塊根植物は、まだ根や茎が安定していないデリケートな状態です。そのため、しばらくは特に丁寧な管理が必要です。
植え替え直後の管理
植え替えや挿し木直後は根が活着していないため、直射日光を避けて明るい日陰で管理しましょう。急激な環境変化は株を弱らせる原因になります。
水やりの注意点
根が十分に張っていないうちは水の吸収が不安定です。過湿にすると根腐れしやすいため、土が乾いてから軽く与える程度にとどめましょう。
肥料は控えめに
増やしたばかりの株に肥料を与えると、根が傷んでしまうことがあります。少なくとも1~2か月は肥料を控え、株が安定してから徐々に与えるのがおすすめです。
環境を安定させる
風通しがよく、急激な温度変化のない場所で管理すると、株がストレスを感じにくくなります。特にエアコンの風や直射日光には注意が必要です。



増やし方に関するQ&A
最後に、初心者の方からよく寄せられる「塊根植物の増やし方」に関する質問をQ&A形式でまとめました。疑問を解消してからチャレンジしてみましょう。
Q1:初心者に一番おすすめの増やし方は?
A. 初心者には株分けがもっとも簡単で成功率も高い方法です。親株の根を分けて植えるだけなので、管理もしやすく安心です。
Q2:挿し木はどのくらいで根が出ますか?
A. 種類や季節によりますが、だいたい2~4週間程度で根が確認できることが多いです。ただし環境が合わないと時間がかかる場合もあるので焦らず見守りましょう。
Q3:増やした株はすぐに肥料を与えていい?
A. 増やした直後は根が弱いため、肥料は1〜2か月控えるのが基本です。株がしっかり成長を始めてから、薄めの液肥を少しずつ与えると安全です。
Q4:失敗した株は復活できますか?
A. 茎や根がまだ一部生きていれば復活の可能性はあります。腐った部分を取り除き、清潔な土に植え直して乾燥気味に管理してみましょう。



まとめ
塊根植物の増やし方には、実生・株分け・挿し木といった方法があり、それぞれに特徴と難易度があります。初心者の方は、まずは成功率が高い株分けからチャレンジしてみると安心です。少しずつステップアップしながら、楽しみながら経験を積んでいきましょう。



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